ランドセルには工房系と工場系に分けられますが、その違いはどこにあるのでしょうか?
主に工房系と呼ばれるランドセルの代表格には鞄工房山本や土屋鞄、萬勇鞄などがあります。
一方で工場系とも呼ばれるランドセルにはフィットちゃんランドセルやセイバンの天使のはねがあります。
このページでは工房で作っている手作り・手製のランドセルと工場である程度機械的に製作しているランドセルの違いについて解説していきます。
ランドセル購入を検討している、パパ・ママに聞いてもらいたい話
‘ 工房系 ’と‘ 工場系 ’と呼ばれるランドセル、どっちも人の手って理解している?
「 理解している? 」なんて、ちょっと上から失礼しました。
ランドセルの販売に約7年、携わっていたわたしですが、わたしでしかにわかに理解できていなかった、とても伝わりづらい話なんです。
この話を聞いたら、きっとランドセルを選ぶ考えかたが違ってくるかと思います。
工場系も工房系も、人の手によってつくられているって知っていた?
頭で思い出してください。ランドセルの「構造」を。そしてイメージしてください。ランドセルが機械でガンガンつくられている様子を…。
違和感を感じませんか?丈夫な素材に部品を内蔵し、ピッチ正しく縫える機械って…想像つかないですよね。
そうなんです。‘ 工場系 ’って呼ばれはしていますが、その製造の多くは人の手や目をつかって行われています。
では一体、どこが違うんでしょうか?
ランドセルの工房と工場の違いって?
結論、工房と工場のランドセルとでは、ランドセルの生地(素材)の切りかた・縫いかたの2つが主な違いとなります。
工場系と工房系での製造工程の違いをあげるとすれば裁断・縫いかたの2つの工程になるかと思います。
工房系は主に天然皮革を採用しているため、使えるかどうか、繊維の流れをよみながら人が手でパーツに割り振ります。
ここで工場はオール機械かといえば、それは‘ノー’です。クラリーノであっても人の手で裁断している工場系は少なくありません。機械で天然皮革を裁断することも、物理的には可能なのです。
「工房系」は人の手で丁寧に切っていて温かみを感じる。と思われがちですが、「工場系」も人の手で丁寧に切っていて同じ流れといえます。
そして「工場系」では、コストを抑える目的(ランドセルの価格を高くしたくない)で、この裁断と呼ばれる工程を機械で行っている会社もあります。
買い手である、わたしたち親の負担を想ってくれるための選択。
わたしはこの背景をしって、機械=冷たいというイメージはなくなり、温かみを感じました。
フィットちゃんランドセルの製作の工夫
フィットちゃんランドセルは高い技術力で裁断の人件費負担を減らし、価格をさげる工夫をしています。
クラリーノも天然皮革も、素材をいかに無駄なく、効率よく使いきるかが課題にあります。
ランドセルは数多くのパーツから成り立っています。
この個々のパーツを1枚からより多くつくれたほうが、素材を無駄にしないことがわかりやすよね?
フィットちゃんランドセルは、 ランドセルの価格をあげたくないという強い想いがあります。
そのため素材(クラリーノ)をあますことなくつかえるよう、パーツに分ける切る作業(裁断)を、マシンで行っています。
機械だから簡単なんでしょ?と思いきや、これがとんでもない!!
成人女性の背丈ほどの素材(布のようなロール状)をセットしてよれることなくまっすぐ差し込み、機械で切り分けさせ、切り抜かれたパーツを集める。
熟練した経験がないとできない‘ 職人 ’なのです。
この工程においては、機械にどう切るか、設計を支持する案内(CADというソフトで設計)も必要です。海外製であることから、初期導入のおいてはCAD側のオペレーターの育成も苦労されたでしょう。
このステップが正確にできていること自体、技術が高いという証拠なのです。新しい技術を採用するというのは、機械という大きな初期投資に加え人を育てる時間と手間がかかります。
どうしてやるのか?という目的と確かな計画、実行力がなければ結果となりません。
※クラリーノ素材でも、裁断は人の手というメーカーが数多くあります
そして天然皮革は生地の特質上、本当につかえる部分なのか、繊維の流れは最適か人の目で判断する必要があり、職人さんが人の手で裁断しているのが一般的です。
素材の性質上、クラリーノより使用できる部分は限られますし(ロスがでます)手間がかかり時間を要するため、人件費にも影響してしまうというわけです。
このような理由から、フィットちゃんランドセルは高品質、デザイン豊富であるにも関わらずランドセル製造において1番肝となる、裁断を機械を用いり、効率化することでランドセル本体の価格を抑えることができています。
さいごに補足ですが、複雑なレースのような裁断は機械ではなく手縫いをしています。
天然皮革の一部工房では手縫いで強度をあげている
‘ 工房系 ’と呼ばれる一部のメーカーでは、手縫いと呼ばれる方法で人がひと針ひと針縫っています。
しかし背中と接触し負荷がかかるといわれる背あての周辺、肩ベルトの付け根(背カン周辺)のみと局所的。
‘ 工房系 ’でも手縫いは一切行っておらず、全てミシンで縫っています。ということろも少なくないのです。
「工房系」は機械(ミシン)は使わず、職人がすべて手縫いしている。というイメージをされている方が非常に多いのですが、「工房系」も「工場系」もほぼ全ての工程で機械(ミシン)を使用しているという表現となります。
「工場系」のランドセルで、糸がほつれるという修理は、あまり耳にしません。
また実績から耐久テストの実施、部品の改良など、品質の安心度には定評があります。
ランドセルの製造においては、‘ 工場系 ’‘ 工房系 ’問わず生地の裁断にしても、組み立てにおける縫い付けにしても人が多く携わっておりその手順に大きな差がないことが伝われば幸いです。
工場系でも工房系でも、ランドセルは‘人の手’でつくられている
いかがでしたでしょうか?
この話をするにあたり、わたしが決して‘ 工場系寄り ’ではないことを断言します。
Tipsシンプルにいいますと…
‘ 工房系 ’が丁寧、あたたかい。
というイメージなのに対し
‘ 工場系 ’は機械、つめたい、無機質。という線引きで
候補から完全に外してしまっているなら、それはちょっと違うよ。と伝えたいだけ。
‘ 工場系 ’が機械を使用している最大の理由は【 価格を下げたい 】に尽き、その理由は家庭の負担を減らし、子どもたちによりよい環境で大切な6年間を過ごしてもらいたいという想いからなのです。
わたしは、フィットちゃんランドセルの工場を見学し、‘ 工場系 ’のイメージが「効率的、安い、あたたかい。」に変化しました。
フィットちゃんランドセルの工場を見れば、‘ あ、ここも工房とかわりないんだな… ’と感じるはずです。
ぜひお時間、機会があればフィットちゃんランドセルがつくられる富山の工場に行ってみてください!!
フィットちゃんランドセルの工場見学レポート